サピックス説明会後、さくらに発破
「説明を聞いてきた感想として、非常に大変そうであるのは間違いがない。」
「そっか。そりゃそうだよね。」
「あぁ、でも下位クラスには優しいかもしれない。」
「え?なんで?」
さくらの耳元に近寄って、わざと囁く。
「あなたはお客様だからだよ。」
「え?」
「上位クラスは実績。下位クラスはお金。それを塾は期待しているんだよ。別にサピックスに限ったことじゃないと思うよ。ビジネスの観点で考えてみなよ。自分が塾を経営していると思ってみてさ。」
「う~ん。よくわかんない。」
「授業料とかが、入ってくるお金っていうのは分かるよな?」
「うん。」
「それを売上って言うんだけど。一方、講師の給料とか塾のスペースを借りているお金とか教材を作るお金、それを考える人の給料、テストを作る人の給料、事務員さんの給料とか、もっともっとあるんだろうけど、こういうのを経費って言うんだ。かかるお金と思ってもらったらそれで十分。経費以上は売上がなくちゃ、会社はやっていけないよね?」
「うん。」
「人を一人雇うと1年間で500万円かかるとする。年収360万円くらいだとしても、保険料とかがかかってしまうんだね。で、生徒の授業料が1年間で平均100万円だとすると、例えば講師1人につき最低でも5人の生徒は必要なわけだ。でも、さっき言った通り経費って給料だけじゃないからさ、とにかくたくさん生徒が集まらないとだめだよね。」
「じゃあ、みんなに優しくした方が良いんじゃない?」
「ほう。優しくしてて、難関校に受かると思う?そりゃそういう子がいることも事実なんだけど。どっちが多いかって話。で、難関校合格の実績がないとさ、そんな塾には行きたくないや、って生徒が集まらなくなるわけ。」
「なるほど。」
「だから、上位クラスは実績を出してもらわなくてはならないから、厳しくもあれば手厚くもあるだろうし、逆に下位クラスは実績に期待はしてないけど、辞められたら授業料が減ってしまうから、優しくなるんじゃないかな?」
「そっかぁ。」
「なので、さくらには優しいかもね。実績に期待はしてないけど、辞められたら困るから。」
「くそっ!見とけよ!」
私の想像だけの話で、実際は違うかもしれません。
そりゃもちろん塾っていうのは実績のみで良し悪しが決まるものではないってことは承知しています。一番は相性だと思っていますし。
あくまで負けん気が強いさくらのモチベーションを上げるためのことです。